■それを考えれば今はそこらじゅうにジャズを好きになれるきっかけがあるってことかもしれませんね。

本当にそうですね。CDだってジャズの名盤と言われているものは1000円とかでなんでも手に入っちゃうようになりましたよ。

ジャズは大人の男性のものだなんて私は全然思っていませんし、女子も好きになれる音楽だと思います。

実際、女子が行くようなお店もBGMってジャズだらけなんですよね。

■私、ジャズ・ライターの島田奈央子さんという方と対談させてもらったことがあるんです。

実は島田さんは『Something Jazzy〜女子のための新しいジャズ・ガイド』っていう本を書かれていて、まさに女子ジャズブームを作ったきっかけの人なんです。

その本がきっかけでCDショップにも女子におすすめのジャズコーナーができたりたそうですよ。

あ、その本ってこんな気分の時にはこんな曲をとか、そういうジャズのお薦めの仕方ですよね。
きっかけにはすごくいいですよね。

やっぱり、ジャズは男性の聴く音楽っていうイメージがあったんだと思います。

それを「そんなことないよ」って大声で言ってくれたっていうのは女子のジャズミュージシャンの私にとってもありがたいことです。

■若くてイケ面なジャズミュージシャン(笑)ってけっこういますよね。
島田さんはそういう人を呼んでライブ企画したりしてるんですよね。

もちろん、音楽的に優れている方々ですけど…。

若くてイケ面、私も会ってみたいです！なるほど、女子にとってはアイドル的な存在になりますよね。

ジャニーズとか韓流スターとかだと大きなライブ会場やテレビを通してでないと会えないし、なかなか直接コミュニケーションできないですよね。

ジャズミュージシャンだと会えるどころかライブハウスに通えば、直接お話しすることができるかもしれないんです。

ジャズミュージシャンって言ってみればものすごくお客さんと近い距離にいる人たちですよね。

まずはお気に入りのミュージシャンを見つけて、「カッコいい！」と思うことからジャズに入っていくのもいいんじゃないのかな。

■そういうきっかけもありだと思われますか？

本当のところはジャズミュージシャンって、見た目ではなく音楽を聴いてほしいんです。

でも、仮に見た目が先になっていたとしても、それがきっかけでジャズファンが増えるのは私にとっても嬉しいことです。

もちろん私自身もいつもカッコ良くありたいし、服装や立ち振る舞いにもにもこだわっているつもりです。

おかげで「サックスを吹いている姿が男らしい」と良く言われます(笑)。
何はともあれ結果として音楽を好きになってもらえるならいいと思いますよ。

■その意味で、最近はジャズクラブに女子のお客さんが増えていると感じますか？

それはもちろんあります。

でも昔から客席は男性だけってわけじゃなかったんですよ。

ちゃんといたんですけど、「女子ジャズ」っていう流行でジャズの現場がそういう視点でも注目されるようになったという部分もあるかもしれません。

私はジャズクラブってそんなに特別敷居が高い場所とは思いませんよ。
むしろもっと老若男女に関わらず日常の娯楽みたいに楽しんでもらえるようになればいいなって…。

■逆に最近、若い女子のジャズミュージシャン人気も凄いですよね。

はい、長年ジャズをやっている私としては…。もう長年はいいか(笑)。最近、勢いのある若い女子ミュージシャンが出てきてジャズが華やかな雰囲気になってきましたよね。

すごくいいことだと思います。

■この連載「先輩音楽人に聞け」は若い女子も多く読んでいただいていると思うのですが、そういう方々に先輩ジャズ人としてメッセージをいただきたいのですが。

ジャズって難しそうって決め付けちゃうと、もったいないです。
自分にとって心地よいものだったら、最初から難しいうんちくを語れなくても、ぜんぜんOKだと思いますよ。

「良くわからないけど、なんだか気持ち良かった」っていうライブの感想、私は大好きです。

好きなミュージシャンを追いかけるのもいいし、ライブハウスに通ってお店のスタッフさんやお客さんと仲良くなって、少しずつオススメのジャズを教えてもらうのもいいと思います。

そうやって、ジャズを通していろんな人と仲良くなれるのも魅力ですよね。

ジャズのことを知れば知るほど、もっともっと好きになれますよ。
まずは最初の一歩を踏み出してみてくださいね。