そりゃもう、ジャズの楽しみ方っていっぱいあるわ。
この人の歌がいいとか曲がいいとかはもちろんあるけど、音色やアレンジ、アドリブとか演奏する人によってまったく違う。
その人の内面が出るっていう感じかしら。
■スタンダードジャズならばいろんな人が取り上げているので、比較するにもいいとうわけですね。
言ってみれば世界の共通語みたいなものかもしれないわ。
共通語だけど、その人によってその人なりのなまりがあるの(笑)。
だから同じ曲でもこの人のバージョンが好きとか、自分に合うとかがあると思う…。
それを見つけるのもまた楽しさのひとつね、きっと。
■ではレイさんのお薦めというのではなく(笑)、スタンダードジャズのアルバムをいくつか教えてほしいのですが。
なるべく元祖っぽい人のがいいのですが、そうでなくてもいいですよ。
あら、今から言うのは私のお薦めよ(笑)。
でもジャズの入口にという意味でね。
まず、Helen Merrillの「Helen Merill」というアルバム。これには「You'd Be So Nice
To Come Home To」が入ってるし、ほかもいい曲いっぱいよ。
次にSarahVaughanの「Crazy and Mixed Up」。
元はシャンソンだけどジャズでも有名な「枯葉」が入ってるの。
メロディはきっと皆さんもご存じだと思うから、サラの枯葉を聴いてみて欲しいな。
驚いちゃうかもしれないわ。
それからFrank Sinatraの「Song For Lovers & Swing Eazy!」なんてどうかしら。
「My Funny Valentine」が入ってる。
シナトラは20世紀最大の歌手なんて言われてるし、「My Way」でもお馴染みの人ね。
■ありがとうございます。
えーと、もう一歩突っ込んでいいですか? それを聴いた上で同じ曲をやっている楽器バージョンでお薦めっていうとどうでしょうか。
いい質問ね(笑)。
そうね「You'd Be So Nice To Come Home To」はJim Hallの「Concierto」。
ジャズギターの人よ。
それから「枯葉」はWynton Kellyの「枯葉」がいいかな。
ジャズピアノの人で必須アイテムのひとつね。
で、「My Funny Valentine」はやっぱりMiles Davisの「My Funny Valentine」かしら。
マイルスはトランペットだって知っている人は多いでしょうね。
でもこれは私の好みよ(笑)。
皆さんは曲を元にどんな人がやっているか調べたりしていろいろ聴いて行くのもいいかもしれないわ。
■レイさんはジャズシンガーですから歌詞も大事にされていると思いますが、これからジャズを聴いていこうという人にとって歌詞も訳してみたりしたらいいと思われますか?
そうね。
訳してみると聴いてて楽しみが倍増するわ。
その曲がどんな内容なのか、それによって歌手の声の出し方も変わってくるし、悲しい曲は悲しく歌ってる。
そして意味が分かれば曲の情景も見えてくるし。
ジャズは語りだから、意味は分かったほうが絶対に楽しめるの。
■なるほど。 では最後に皆さんがジャズに興味を持たれるような強烈なひとことをお願いします(笑)。