第5回「先輩音楽人に聞け!」は白庄司孝(しろしょうじたかし)さんです。
白庄司孝(しろしょうじたかし)ブルースサックスプレイヤー。
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白庄司孝(しろしょうじたかし)京都生まれ。
37年間、ブルースサックスを吹き活動を続け、「たかっちゃん」の愛称で全国のブルースファンに愛される存在。またライブ活動の他に近年は毎週月曜日に荻窪ルースターの2号店、ルースターノースサイドでのブルースセッションのリーダーほか、様々な場所でセッションリーダーとしての仕事をこなしている。 |
公式サイト
文・インタビュー 佐藤ヒロオ(さとう ひろお)
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1962年9月18日生まれ。
毎晩、トッププロミュージシャンが演奏していることで全国的に知られるライブハウス「荻窪ルースター」のオーナー。著書「荻窪ルースター物語」、「ライブハウス
オーナーが教える絶対に盛り上がるライブステージング術」(ポット出版)がある。 |
荻窪ルースター http://ogikubo-rooster.com
皆さんはセッションに参加される機会はありますでしょうか?
セッションとは普段一緒に演奏していないメンバーが集まって演奏する、またはそのメンバーで普通にライブを行うものと、
楽器を持ち寄った人たちが代わる代わる演奏する誰もが参加可能なものがあります。
その中で最近、後者の誰もが参加可能なセッションを行うライブハウスが増えてきています。
せっかくバンドをやっているのであればたまにはいつものメンバーだけでなく、見知らぬ人と演奏するのも面白いものです。
そこで今回はセッションとはどういうものか、そしてどんな面白さがあるのかをセッションを仕切る
セッションリーダーの仕事を多く請け負っている白庄司孝さんに伺います。
■行ったことが無い人にとってはセッションとは未知の世界だと思います。
まずはどういうものかを教えてくれますか?
僕がセッションリーダーをしているのはほとんどブルースなんやけど、ジャンルによって特別大きな違いがあるわけではないんや。
せやなあ、そんなら簡単に流れを説明してみましょうか。
まずセッションデーに行くと受付があって、まずはそこで名前と担当楽器を紙に記入するねん。そこで飲み物を注文し、席に着く。
いろんな楽器の人が集まってるので、セッションリーダーが、いわゆる司会みたいなものやね、順番に名前を呼んでステージに上げる。
それが僕の役目なんやけど、で、その人らで一緒に演奏する。
こういう感じですね。
■つまり、いきなり知らない人たちと演奏するわけですね。
では曲はどうやって決めているのでしょうか?
曲はボーカルを取る人に決定権があるねん。
まずはボーカルさんが歌えないと始まりません。で、他の楽器の人たちはボーカルがステージ上で決めた曲を演奏しなければならない。
でもね、ブルースの場合は多くの場合は3コードで12小節の繰り返し。
だから曲名のほかにキーは何か、どういうリズムかとか伝えればその場でもなんとかなってしまう。
■なんとかなるとは言ってもステージにいる人がみんな初心者だったらそうはうまくいかないのでは?
えへん!そこがセッションリーダーの腕の見せ所やねー。
うまい人たちの中に初心者をうまく入れ込んでいく人選をするの。
すると初心者がちゃんと着いてこれなくても曲はしっかり進行していくわけ。うん。
■なるほど。曲を知らずともセッションできると言っても、曲によってリフがあったりキメがあったりするし、できればどんな曲をやっているのかは知っておきたいですよね。
いやいや、僕の場合は最初は知らなくてもいいと思ってんねんな。
他の人たちがやっているのを聴いて、「今の曲、なんていう曲なんですか?」とか質問すればいい。そうすることで知らない人とも会話できる。
で、みんな教えてくれる。
あと、ブレイクとか、ソロ回しとかはボーカルの人が合図出すんでそれに従ってればカタチになる。
■そうすると演奏中、ボーカルの合図は見逃せませんねー。
でも知らない人たちばかりだと緊張しますから、そういう意味では会話するのはいいですね。
ブルースってけっこう自分を表現しやすいんやね。 俺はこうやでー、みたいな。
その意味では緊張してたら自分を出しにくい。
人と会話して緊張をほぐせば普段の実力も出しやすい、こういうわけやね。
■ジャズにスタンダードナンバーがあるようにブルースにもよく演奏される曲はありますよね。
そうそう。そやから何度もセッションに行くと、「この曲、この前は違う人がやっていたぞ」とかだんだん覚えてくる。
ジャズにはスタンダード曲の譜面集の本が売ってたりするけど、ブルースのは日本では売ってない。でもね、ブルースに譜面なんかいらないから大丈夫。
■たしかに3コードなら譜面は無くてもいいですね。
ではよく演奏される曲を3曲ほど上げるならば?
「Everyday I Have The Blues」、「Hoochie-coochie
Man」、「Sweet Home Chicago」あたりは誰かが毎回やりますねー。
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