■岡井 大二(おかい だいじ)ドラマー・プロデューサー
1953年7月8日生まれ。
1974年、「四人囃子」のドラマーとしてデビュー。
一方では「L⇔R」などを手がけたプロデューサーとしても有名。
現在も様々なバンドでドラムを叩きながら、幅広く音楽業界で仕事をしている。
文・インタビュー 佐藤ヒロオ(さとう ひろお)
1962年9月18日生まれ。
毎晩、トッププロミュージシャンが演奏していることで全国的に知られるライブハウス「荻窪ルースター」のオーナー。著書「荻窪ルースター物語」、「ライブハウス
オーナーが教える絶対に盛り上がるライブステージング術」(ポット出版)がある。
■若い頃って、自分の音楽を多くの人に聞いてもらいたい、レコードが出て武道館とかやれたら最高みたいな気持ちってけっこうみんな持っていると思うのですが、まずはその辺りから伺えますか?
若い頃は夢を持つということはとても自然なことだと思うんです。
何かの職人になりたいなら学校へ行ったり、修行したりすれば夢はかなうかもしれません。
でもそれがミュージシャンとしてデビューするとなると若いがゆえにどうすればいいのかは誰もわかってない。
昔も今もそこは一緒だと思います。
■たしかにプロ野球の選手になりたい人は甲子園出てスカウトされればなれるとか、はっきりしていますが、音楽はよくわかりませんね。
皆さんが夢として思い浮かべているミュージシャンというのはポピュラー音楽でヒット曲を出している人たちだと思いますので、その視点から話してみようかと思います。
たとえば、俺の曲は最高だと思っている若者がいます。
その若者は他人も自分の曲を最高だと判断するに違いないと思うのです。
で、人に聴いてもらっても、反応が良くなかったりする。 こうなるとわかってくれる人を探す為にライブを重ねたりするんですね。
これを大勢の人が繰り返している状態です。
■たしかに駅前のストリートとか若者向けのライブハウスとかに出たりしますね。
ではある若者が料理が得意だったとします。
俺の料理はうまい、と。だから誰が食べてもきっとうまいと思うに違いない。そう思うわけです。
ところが、その若者の料理は一流レストランではまったく通用しないわけです。
その一流レストランに俺の料理はうまいのでメニューに加えてくれと頼んでも相手にされませんよね。 音楽業界もそういうことなんです。 まず相手にしてくれません。
■料理のたとえだとわかりやすいですね。たしかに音楽をやる若者はそういうことを考えている人は多くはないかもしれません。
それと同じで当然ながらレコード会社はその若者の曲を出しはしないのですね。 ただし、その若者が本物だと確信した場合は話は別です。 だからと言ってそのまますぐにデビューなんてことはないんですよ。
レコード会社って会社ってつくでしょ?
会社は利益を生まないものは売ってはいけないんです。
若者はそこをまず知って欲しいんですが、どんな会社も売れる見込みのないものは手を出しませんよね。
■そうですね。どうしても音楽って会社の商品じゃなくて自分の作品と思いがちですから。
ではどういう風に話が進むかなのですが、会社的には次に売れるのはこういう感じの音楽だと決定してから動くのです。
じゃあ、そういう若者がいないか、もしくはそれをやってくれる若者にそれをやらせよう、こういうことになる。 もちろん選ばれし人ですから、よくいるレベルの人は選ばれません。
■でも若者としては俺はそんなことやりたくないっていう人が多いでしょうね。
そう。でもね、よく考えてみれば売れた人って、そこを承諾した人だらけなんですよ。
■時代もあるでしょうか?
今の子たちはちょっとかわいそうなんです。
昔はCDがいっぱい売れる人がいた。そういう人を抱えている会社は余裕があります。 だから、これからの新人を育てる余裕もあったんです。
ところが、今はCDが売れない時代です。 こうなると会社としては当然余裕はありませんから、より売れる見込みが高いことをやるんです。
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