第2回「先輩音楽人に聞け!」は宮之上貴昭さんです。

宮之上 貴昭 (みやのうえ よしあき)ジャズギタリスト。

東京都世田谷区出身。
日本を代表するジャズギタリスト。ジャズ雑誌「スイング ジャーナル」の人気投票では30年以上トップクラス。国内はもちろん、海外のジャズ フェスなどでも高い評価を受けている。


文・インタビュー 佐藤ヒロオ(さとう ひろお)

1962年9月18日生まれ。
毎晩、トッププロミュージシャンが演奏していることで全国的に知られるライブハウス「荻窪ルースター」のオーナー。著書「荻窪ルースター物語」、「ライブハウス オーナーが教える絶対に盛り上がるライブステージング術」(ポット出版)がある。


音楽のジャンルは様々あれど、なんとなく大人の雰囲気がするのがジャズ。
ジャズも好きになってみたいのだけれどなんだか難しそう…。
そう感じている人は案外いるのではないでしょうか。
どうすればジャズを楽しめるようになるのか?
ましてジャズは自分も演奏できるものであろうか…。
その辺の気になることを日本のジャズギタリストの頂点に30年以上君臨されている宮之上貴昭さんに伺ってみました。

■一番最初に好きになった音楽がジャズだったという人はなかなかいないと思うのですが、宮之上さんはいかがでしたか?

10歳の頃からギターを弾いていたんですが、高校生の時にエレキブームがありまして。そう、ベンチャーズとか寺内タケシさんとか…。
ほとんどの曲をコピーしましたよ。
でもね「キャラバン」っていう曲だけなんだか他の曲と違う感じだったんです。
どうやら「キャラバン」はジャズだったんですね。
で、急にジャズに興味を持つようになって、そこからはもうジャズ一筋になりました。


■キャラバンからジャズに興味を持たれたというところをもう少し詳しく伺いたいのですが。


ベンチャーズに限らずなんですけどね、曲をコピーするとコード進行とかギターソロ とかどの曲も「なるほどこうなっているのね」って理解しながら弾けていたんです。
ところが、キャラバンだけ「あれー、この曲どうなってるんだろう」とわかりにくかった。
で、「これはジャズを勉強しなくちゃいけないな」って思ったんです。
いわゆるジャズの理論ですよね。
私は曲をコピーすることはできたけれども、理解していないまま弾いているのが悔しかった。
それと同時にジャズって言う音楽の深さに魅力を感じたてしまったわけですね。


■ということは高校時代にジャズにはまってしまったんですね。

そうですね。
人よりはちょっとだけ早いかもしれませんね。
でも私の場合はギターを弾くために「ジャズってどうなっているのかな」と興味を 持ったからジャズを聴くようになったわけで、もしもギターを弾いていなかったら ジャズも聴かなかったかもしれませんね。


■なるほど。でも高校生でジャズってわかるものでしたか?

うーん、さすがに深くまではね。
でも、わかるかわからないかということよりもジャズを聴くこと、弾くことが本当に面白くて。
逆に10代ですから吸収力もあったんでしょう。
次々と聴いては弾いていましたね。
おそらく、皆さんが歌謡曲を聴いて覚えたのと同じような感じで親しんでいたんだと 思います。
音楽人をご覧いただいている読者の皆さんの中にも歌謡曲の歌本を広げて歌っり、弾いたりした経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
私はそれが歌謡曲やロックでなく、ジャズだったということですね。
ただ、私の場合、一日中ギター弾いているような状態でした。
引きこもりならぬ、弾きこもりです(笑)。


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