第3回「先輩音楽人に聞け!」は小出斉(こいでひとし)さんです。

小出斉(こいでひとし)ブルースギタリスト。

小出斉(こいでひとし) 1957年新潟生まれ。
1971年に来日したB.B.KINGに影響を受ける。大学時代に吾妻光良と出会い、1977年にブルースバンド、ローラーコースターに加入。
日本を代表するブルースギタリスト。音楽誌、レコード・ライナー・ノーツなどでの評論活動も有名。


文・インタビュー 佐藤ヒロオ(さとう ひろお)

1962年9月18日生まれ。
毎晩、トッププロミュージシャンが演奏していることで全国的に知られるライブハウス「荻窪ルースター」のオーナー。著書「荻窪ルースター物語」、「ライブハウス オーナーが教える絶対に盛り上がるライブステージング術」(ポット出版)がある。


★音楽にも素晴らしい先輩の先輩、そのまた先輩がいる。たどっていくと自分の音楽 の懐が深くなりますよね。
音楽の好みは人それぞれです。
しかしそれゆえに好みのジャンルの音楽ばかりを聴い てしまい、視野が狭くなってしまうことも。
そこで今の音楽シーンのそのまた限られたところをいくつかピックアップしまして、 「こういうのが好きな人はこれを聴いてみてくれ」的なことを日本を代表するブルー スギタリストの小出斉さんに伺ってみました。

■よくブルースがなければロックは生まれなかったなどと言われますが、
ブルースが誕生してから100余年経つ平成23年の現在でもやはりブルースが現在の音楽シーン、

たとえば、ロックやポップスなどの土台になっているとと思われますか?

そうですね。
そもそもブルースがあってのロックンロールですし、ロックンロールが
あってロックがあるし、なんて言うか先祖はみんなブルースなんですよ。
これはあと100年経とうが変えようがない事実だと思いますよ。

■ブルースもフォーク調のものからエレクトリックなもの、
そしてモダン、アーバンなものへと進化を遂げていったわけですよね。

その変化していったブルースからもロック界などには影響はあったのでしょうか?

すごくありますねー。
たとえばエリック・クラプトンがよく演奏する「クロスロード」はロバート・ジョンソンの1936年の曲です。1936年と言えば昭和11年ですよ。

古い話ですよね。ロバート・ジョンソンの曲は29曲だけレコードに残されたんですが、それをカバーした人たちはもう数知れず。ローリング・ストーンズやレッド・ツェッ
ペリン、ボブ・ディランみたいな有名な人たちも取り上げています。

■ロバート・ジョンソンの曲を後に有名な方々がカバーし、そしてその進化したロッ
クなアレンジによってまた新たな世代が影響を受ける。

これを繰り返して来ているわけですね。

そうですね。
ロバート・ジョンソンはデルタ・ブルース、いわゆるフォークギターの弾き語りでした。

と言ってもスリーフィンガーとかコードのストロークというものではない卓越した独自のテクニックだったので、フォークギターだけどフォークではない感じですね。

で、その後のマディ・ウォーターズなどのエレクトリックなブルースに影響されてい
るロックバンドはもう雨後の竹の子状態だったと思います。

ストーンズやツェッペリンはエレクトリックなブルースのほうがむしろ影響大でしょうね。

■クラプトンやストーンズは世界的に人気ですが、では彼らが取り上げた元祖のブ
ルースは同じくらい有名かというといかがでしょうか?

それは圧倒的に元祖のほうが知名度は低いでしょうね。

たとえば、アイドル歌手が歌っている曲があって、ファンだったら歌詞を見なくても歌えるとしますよね。

でもその曲が誰が作ったのかってことは興味がない。
知ってもその作詞・作曲の人の作品をたどって聴くという人はまずいませんもの。

それと同じでストーンズは大好きでもマディのCDは持っていない人のほうが断然多いでしょうね。


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