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Comeback My Daughters

ツアーをやって、自分たち自身を素直に
出していいっていう勇気はもらいましたね。

●今作の制作は、どんな感じでスタートしたんでしょう?
高本「前作の後、ツアーを長いことやってまして、ツアーが一段落した'04年の年末ぐらいから、アルバムを考えた曲作りを始めて」

●前作を出してツアーも盛り上がって、アゲアゲの気分で今作に向かうかと思ったんですよ。
高本「あぁ、そう思われるかもしれないですね。でも、そんなアゲアゲな感じでもなく」

●ですよね。今作、落ち着いた感じもしますもんね。
中津川「特に意識の変化はないんですけど、ガーッと鳴らすというよりは、もっとこう、曲の中に入り込んで感情を伝えるっていう。そういう気持ちになって」

●そういう気持ちも、ツアーをやって感じたことが反映されたと思いますか?
CHUN2「ツアーで感じることもたくさんあるんですけど、それが具体的な反映の仕方はしてるのかな? ツアーが反映してるというより、具体的に曲作りに反映することって、僕らはへヴィリスナーなんで、日々音楽をやることで出てくるものが多いですね。普段の生活はもちろん、みんなでスタジオにいる時や好きな音楽を聴いてる時に感じたことが曲になっていくだけで。例えば高本が作ってくる曲を聴いて映像が浮かんで、そこからトータル的なものが見えてきたり。トータル的に聴ける作品にしたいってのが、今作にはあったので」
中津川「前作との違いは、そこですね。前作は、結成してからそれまでの曲をポンポンと入れた作品だったけど、今作はまずアルバムを作ろうって意識から始まってるから。だから、前作では出し切れなかったクオリティを、より出せればいいなと考えて。でも、そういう考えが出てきたのも、ツアーをやったおかげかもしれない」

●そうですよね。メンバーで長い時間、共に過ごしたわけだし。
中津川「お互いのことも、よりわかってきたし。あとツアーで感じたことは、1stを出して、それが喜んでもらえてると実感して。だったら僕らも、もっと素直な気持ちを表現していこうって思ったんですね。お客さんが喜んでる理由が、ギターをガーンとかき鳴らしているところだとしても、僕らはもっとやりたい音楽もあるんだよってことを素直に出そうと。だからツアーをやって、自分たち自身を素直に出していいって勇気はもらいましたね」

ただガーッと鳴らすだけじゃなく、
曲の中に入り込むことができた。

●次を見せられるっていうのも、きっとお客さんを信頼してるからだと思うし。で、前作は1stならではの初期衝動がメロディを後押ししてた作品で、今作は感情とも向き合ったような作品だなと。前作は音楽をやるのが楽しいって姿が浮かんだけど、今作にもその楽しさはもちろん浮かぶけど、曲そのものの感情がちゃんと見えてくる。
高本「あぁ、はい。歌詞にしても、前作よりも自分の感情に素直な気持ちで書きました。ま、思ってることを歌っただけなんですけどね(笑)。弱音も強音も吐いてるんですよ。弱い自分を隠さず出すことも大事だけど、でも逆に自信がなくても強がらなきゃいけないこともあると思うんですよ。そういうことをしっかりと見極めて」

●うんうん。前作の歌詞も、単に楽しいってものではなく、暗さもあったと思うんですよ。でも、それを奏でている自分たちは楽しいぞって姿が浮かんだ。今作は、へヴィなことはちゃんとへヴィに歌ってるし、奏でてる気がして。
高本「それが、自分の感情に素直になったっていうことなんでしょうね。素直に歌ってるし、音も出してる。あと、音を出すのは楽しいのは当たり前で、そこからどう表現していくかっていう」
中津川「演奏も、ただガーッと鳴らすだけじゃなく、曲の中に入り込むことができたと思うんです。音に気持ちを込めたっていうのはありますね」

最後に歌が入って“こんなにイイ曲が
できた”って驚くことが多いですね。

●じゃ、曲作りも充実した感じでやれて?
高本「ですね。とは言え、作り方が変わったわけでもなくサクサク作って。みんなでスタジオで作っていって、普通ですよね(笑)」

●収録曲の12曲は、たくさんできた中から選んだ12曲?
高本「そんなにたくさんできたわけでもなくて。ただ、曲の破片はあったりするんですけどね。必ずしも1曲を全部完成させてから次の曲ってわけでもなく、まぁ、気が乗らない時もあるし。1ヶ月ぐらい寝かせておくこともあるし、わりと一気に完成までできることもあるし」
中津川「寝かせておいた曲が、ある時に浮かび上がってくる場合もあるし。そうやって、徐々に収録分ぐらいの曲ができて、レコーディングに向かって」
高本「ただ、さっきも言ったように、今作はトータル的に聴けるものにしたいっていうのは念頭にあって」
中津川「例えば季節を感じられる作品であったり。冬にリリースするんなら、ちょっと冬の季節感も出したいね、とか。曲を作ってたのは夏なんで、苦労したんですけど(笑)。いや、でも冬だけに限定する作品でもなくてね。こう、冬なのに夏っぽかったり、夏を思い出させるような冬だったり(笑)」

●えーと、心の中の季節感っていうか(笑)。
中津川「あ、そういうことです。聴いた季節によって違う響き方をするような。明け方と夕方では違う響き方、聴く人のシチュエーションで変わるような。その人の日常で生きていく音楽っていうか、そんなアルバムにしたいねって」

●うんうん。で、今作は落ち着いたムードもあるし、歌が前に出ていて音数も少ない。でもだからこそ、そこにはいろんな発見がある。自分たちでも驚きは多かったんじゃない? 例えば最初に歌のメロディを聴いた時点でも驚きがありそうだし。
中津川「いや、歌は後なんですよね。高本が基本的に曲の土台を作ってくるんですけど、ホントに土台だけなんで、その段階では驚きはあんまりないんです(笑)」
高本「僕が作る土台は、ワンフレーズの歌だけのこともあるし、ワンフレーズのコードだけのこともある。イメージ的な流れだけのこともあって。作り込んだものをメンバーに提示することは、ほとんどないですね」
中津川「だから最初に驚きはないけど、それが最終的に驚きになるんですよ。最終的に驚きのあるものに、みんなでしていく」

●みんなで驚きのあるものにしていくって、なんかすごくいいなぁ。
中津川「だから最後に歌が入るんですけど、そこで“こんなにいい曲ができた”って驚くことが多いですね」

メロディと歌詞とアレンジと雰囲気、全部が
合わさって一つになってるトータル性。

●最後は歌が締めてくれるから、自由にやれるっていう。
CHUN2「各々が結構好き勝手にやってるもんね」
中津川「きっと、みんなバラバラだと思うんですよ、音楽の好みも。高本は舵取りをしてるから、そこもわかってるかもしれないけど。そのバラバラで不安になったりするんだけど、それが面白いんですよね」
CHUN2「“自分はこうしたい”ってものを強く持ってる5人だと思うけど、その頑固さと互いに許容しあう柔軟性と。それがバンドの面白さですよね」
中津川「そこで奇跡的なものが生まれるっていう。奇跡を感じたいんですよ(笑)」
CHUN2「でも実際、難しいんですよ(笑)。キーボードもいて音も多いし」

●でも音の抜き差しっていうかな、音数少なくても奥行きあるし。
中津川「前作を作って、見えたものはありますね。自分の考えた音にはやっぱりこだわりがあるんだけど、他の楽器の音を聴いて自分の音も活かすっていう、そういう感じはわかってきて」
CHUN2「うん。でもそれ、普通のことですよね(笑)」

●いやいや、口で言うのは簡単でも、実際にやるのは難しいでしょう。ヴォーカルも表情が増したし。
高本「楽器と一緒に一気に歌うというよりは、例えば音数が少ないから、それに合わせてどう抑揚をつけられるか、それは考えました」

●音色にもこだわってそうですよね。ギターなんか特に。
CHUN2「ギターは考えましたね〜。一つ一つの音の鳴りにもこだわったし。煮詰まった時は焼き鳥食いに行って(笑)」
中津川「焼き鳥食いながら、僕が横で慰めて(笑)」
CHUN2「変な言い方だけど、煮詰まるまでやれたのが良かった。いろいろ試せて、そこから選べたので」

●それももちろん、自分の音だけのためではなく、曲のため、作品のための作業なわけで。
高本「そうです。トータル性っていうのは、そういうことで。メロディと歌詞とアレンジと、そして曲の雰囲気。全部が合わさって一つになっているような」

プロミス・リングとかとは“一緒にやろうぜ、
一緒に行こうぜ”って勝手に思ってますよ(笑)。

●今作、へヴィリスナーならではのマニアックさは垣間見れるけど、そこがむしろ気にならないのがいいし、瑞々しさだって変わらず感じるし、何より感情ありきの音楽なところが、すごく良かったです。ところで、遡っちゃうけど結成のきっかけは、ジミー・イート・ワールドやプロミス・リング、ゲット・アップ・キッズなどに影響を受けてスタートしたんですよね?
高本「そういう感じだったんでしょうね。そういうバンドが日本でも知られるようになって、“カッコイイね”って思った時期にスタートしましたから。でも、もう忘れちゃいました(笑)」

●忘れちゃったっていうのは、もうこだわりがなくなったっていうこと? それとも、より深く追求しているってことなのかな?
高本「あぁ、両方かもしれないです。ゲット・アップ・キッズもプロミス・リングも、メンバー各々がいろんな音楽を聴いてるし、それが一つになってバンドとなっていて。だから彼らの音楽を追求していけばいくほど、例えばエモってジャンルとかに対してのこだわりは、どんどんなくなっていって。そういうジャンル的なものではなく、知れば知るほどロックそのものを追求してるんだなって気づいて。だから今は、本当にいろんなものを聴いてます。例えばエモとかアメリカのインディーロックとか、そこにこだわりはないですね。あと僕ら、ゲット・アップ・キッズやプロミス・リングに影響は受けてますけど、でも影響というより同世代感覚なんですよ。実際に同世代だと思うし。影響というより共鳴なんですね」

●あぁ、その感覚は大きいと思う。影響だと変に祭り上げちゃう感覚も出てきそうだけど、共鳴なら一緒に進んで行けるっていうか。
中津川「だからプロミス・リングのようなことをやりたいんではなく、自分らもそこに行きたいっていう」
CHUN2「一緒にやりたいですね。“一緒にやろうぜ、一緒に行こうぜ”って勝手に思ってますよ(笑)」


Comeback My Daughters
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